人生設計!銀行員が転職・起業を見据えて考えておくべき事【資格・スキル】

転職・副業

転職・起業に備えて準備をしよう

脱サラ予定の銀行員、ひつじ課長です。

銀行業は斜陽産業だ、IT化によって仕事がなくなる、などとネガティブな話題の多い金融業界。

実際、人員削減や店舗削減、業務の機械化等は既に始まっており、転職市場に出ている銀行員数は年々増加しているようです。

しかし、いざ転職を考えるにしても、多くの方が次のような事で悩み、立ち止まってしまうのではないでしょうか。

  • 特別な知識や資格がない
  • 特別なスキルがない
  • 違う会社でやっていけるか自信がない
  • 向いている仕事が分からない

今回は、そのような不安を感じている方のために、今からできる事は何か、をお伝えできればと思います。

銀行で働きながらキャリアアップも目指しつつ、転職や起業に役に立つ資格・スキルを効率的に習得していっていただければと思います。

また、これから銀行・信用金庫への就職を考えているけど、将来そのまま働き続けるのか悩んでいる、そんな学生の方にも見ていただければと思います。

銀行や信用金庫の仕事は、高度でハードである事は間違いないと思いますが、そこでの経験が「社会」で通用するかどうかは別です。

ただ、心配する事はありません。

銀行で仕事をしながらでも、意識をするだけで転職や起業、今後生きていくために必要な知識・スキルを身につけていくことは十分に可能ですし、むしろそれがやりやすい環境であると思います。

もちろん、どのような業種・職種に転職を考えるかによっても変わってきますが、ここでは広く一般に「役に立つ」という観点から、働きながら身につけることができる、また優先的に身につけるべき知識・スキルについて現役銀行員目線で整理したいと思います。

転職せず、銀行で働き続けるにしても必須となるものですので、是非参考にしていただきたいです。

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働きながら準備をする2つの考え方

働きながら転職の準備を進めていくにあたって、大きく2つの観点があります。1つ目は「資格を取得すること」、2つ目は「キャリアスキルを身につけること」です。

資格については当たり前に言われていることですが、今回は僕の考える「優先的に取り組むべき資格」と「その理由」について解説します。

あくまでも「転職・起業などの際に役立つ」という観点から選んでいますので、各金融機関で求められている資格、昇進・昇格に必要な資格等については優先して下さいね!

また「キャリアスキル」とは(そもそも多分そんな言葉はないですが)銀行で働く中で身につけることができ、かつ将来転職する際にも役に立つスキルと定義します。

これらの習得を早い段階から意識しておく事で、いざ転職を考えようと思った時に役に立つと思いますし、働くモチベーションにもつながると思います。

それぞれの具体的な内容

資格取得について

まずは王道の資格取得です。

銀行に就職したら嫌でも資格の勉強をしていく事になると思います。

「自己啓発しろー!」ってやつですね。

昇格要件にも資格取得について規定されている金融機関がほとんどです。

ただその中で漫然と勉強をするのではなく、効率的に、かつ自分自身のためになる資格取得をしていくためのの考え方について整理してみたいと思います。

ここでは次の3つの観点から、優先的に取得するべき資格についてお伝えします。

  1. 仕事に活かせるか
  2. 自分自身の役に立つか
  3. 転職に有利になるか

優先して取るべき資格① ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーの資格は優先度が高いです。

社会保険や年金、保険、投資やマーケット、税金、不動産、相続・事業承継など、仕事をしていく上でも必須な上に、知っておくと自分自身や家族の生活にも大いに役立つ内容となっています。

ご自身の給与明細を見ても「なんか色々引かれてるなー」だけで終わっている人、多いのではないでしょうか。

ましてや金融業界以外で働いている人は気にした事もなく、当たり前に引かれているもので、手取り額しか気にしていないという人も多いと思います。

世の中には知ってるだけで得をする情報や、知らないと損をする情報がたくさんあります。

お金に関する仕事をしていく以上、またお客様に情報提供し提案していく仕事であるからには、ファイナンシャルプランナーは「必須の知識」と言えます。

さらに、自分自身の税金対策や、保険加入、資産形成や老後の準備等をしていく上でも、知っているか知らないかで大きな違いが出てきます。

自分自身のマネーリテラシーを高めておくことは、今後転職や副業、起業などを考える時に必ず役に立ちます。このあたりの詳細についてはまた別の機会にて記事にしたいと思います。

また近年では、ファイナンシャルプランナーの資格有無を昇進・昇格要件に入れている金融機関も増えてきていますので、優先的に取得に取り組まれることをお奨めします。

2級は比較的多くの人が取得しますが、1級になると急にハードルが上がり、何度かトライして挫折してしまう人が多いです。

だからこそ、取得することで他者との差別化もしやすく、人事部から見た際の評価にも直結しやすいので、ここは頑張って勉強していただきたいところです。(「仕事だから」ではなく「自分のため」と思って!)

お奨めの勉強法等についてはまた別の機会で詳しくご説明できればと思います。

優先して取るべき資格② 財務(銀行業務検定)

銀行業務検定、特に「財務」「税務」「法務」は、ほとんどの銀行、信用金庫が習得必須にしていると思いますので、自然と受験することにはなると思います。

その中でも特に「財務」の学習については『試験のための勉強』になってしまわないよう、意識して取り組んでいただきたい科目です。

その理由を解説します。

理由1 「融資」の前提知識であるため

財務の知識は、銀行の三大業務の一つ『融資』をする上での大前提の知識です。
銀行で仕事をしていく上で、財務の知識、決算書を読める知識は必須中の必須と言えます。


最悪、上記の「税務」「法務」の知識は全て習得していなくても、仕事ですぐに困る事はありませんが、法人渉外や法人融資を担当する人は財務知識がなくては仕事になりません。
※もちろん「税務」「法務」も必要な知識ですよ!


「会社、上司に言われたからとりあえず勉強する」という人が非常に多いですが、転職をするにしてもしないにしても、まずは銀行の中で成果をあげるために、「自分の知識として習得するための勉強」をしていただきたいです。


さらに法人渉外や法人融資の担当の方は、次のテーマでお伝えするキャリアスキル「法人オーナーとの関係構築」を目指す場合、法人オーナーから信頼されて人間関係を構築しなければいけません。
そのためにまず、最低限の財務知識は確実に習得しましょう。

また、個人渉外や資産運用を担当している方も、「法人オーナーの事業承継」や、「開業医の税金対策」、「法人保険の提案」など、個人と法人が密接に関わる案件があると思います。


その際、その会社の自社株の評価、財務内容から読み取れるもの、例えば会社で加入している保険、オーナーに支払われている家賃、オーナーからの借入金や貸付金等、様々なものを読み取ったうえで提案しなければ、納得感のある、あるいは理論的に正しい提案をすることはできません。

財務は個人担当だから関係ないと考えるのではなく、せっかく勉強するのであれば積極的に取り組んでいただきたい科目です。(将来的に法人担当になる可能性もありますしね。)

理由2 他者との差別化ポイントになりうる

理由1に書いた通り、会社に言われたかたら仕方なく勉強しただけで、財務知識が十分でない銀行員は非常に多く、近年特に顕著であると感じています。

その原因はいくつかあると思いますが、例えば以下のようなものが考えられます

  • 低金利が続いており、融資を伸ばしても業績・評価に直結しにくい
  • 銀行の経営ベクトルが多岐にわたっている(コンサル営業、総合サービス、手数料ビジネス)
  • 若手を育成する環境がない、整っていない

このあたりの詳細についてはまた別の機会に解説できればと思いますが、少し前まで財務は銀行員にとって知ってて当たり前の最低限の知識でしたが、近年において「財務の分かる銀行員」の相対評価は高くなっていると思います。

人がやっていないからこそ、取り組む価値があると思いますし、仕事にもご自身にも役にも立つ、勉強しない手はないと思います。

理由3 簿記の勉強につながる

財務の知識を習得し、損益計算書、貸借対照表のお金の流れが理解できると、簿記の勉強をする際、圧倒的に理解が早くなります。

僕自身も、脱サラを考え始めてから「簿記でも勉強してみようか」と軽い気持ちで勉強を始めましたが、何も違和感なく全て理解する事ができ(と言うより、全て当たり前という感覚でした)、細かい勘定科目を覚えるだけで済みました。

簿記の必要性については次でご説明します。

優先して取るべき資格③ 簿記

簿記の知識があると、転職を考える際に有利になると思います。

財務は「決算書を読む知識」ですが、簿記は「決算書を作る知識」です。

銀行員として働いていると、出来上がった決算書を見る機会は非常に多いですが、決算書を作る機会はほとんどないでしょう。

しかし一般の事業会社への転職を考えた時に、多くの場合必要になるのは「決算書を作る知識」です。
(コンサルタントなど決算書を読む知識のほうが重要な仕事もありますが)

話が少し逸れますが、将来の出向をイメージしてみて下さい。

取引先などの一般の事業会社への出向、そして経理部、財務部への出向が多いと思います。

僕の担当している企業にも、銀行OBの方はたくさんいます。多くは「経理部長」などの肩書です。

実際、ほとんどの方から共通して聞く事は「実務がまったく分からないから苦労する」という話です。

要は「経理って実際何をするのか」が分からない、言い換えると、「決算書の作り方が分からない」のです。

何十年も決算書を見てきたベテラン銀行員が、みんな口をそろえて言うのです。

もちろん、簿記の知識があるからと言って、実際の実務が全て分かるわけではありませんが、「前提知識として知っておく」ことは必要になると思います。

当然、起業を考えられる際には必須知識となります。

財務の知識があれば、そんなに難しい勉強ではないですので、是非とも取り組んでみていただきたいです。

優先して取るべき資格④ 中小企業診断士・宅地建物取引士

上記3つの資格に加え、昇進・昇格必須科目を取得済の方は、次にこれら2つの試験に挑戦すると良いと思います。

専門性が高くなる分、今回のテーマである「広く一般に役に立つ知識」とは少し違う気がするので優先度は低めにしました。

どちらの資格も、銀行の業務との親和性も高く、業務のスキルアップと同時に取り組めるので、勉強の効率も良い資格であると思います。

銀行で働き続けるにしても、転職を検討するにしても、取っておいて損はない資格です。

さらにステップアップを目指す方は、是非ともチャレンジしていただきたいと思います。

キャリアスキルについて

銀行という組織は、良くも悪くも昔ながらの企業体質です。大変だと思う事も多い反面、学べることもたくさんあります。

銀行で働きながら、今後転職などを検討する際にも使える、役に立つスキルを身につけることが可能です。

具体的な例をご紹介します。

ビジネスマナー

中小企業では、ビジネスマナーの研修に力を入れているところはあまりありませんが、銀行員という信用第一の職業柄、銀行ではビジネスマナーや身だしなみについて学ぶ機会、環境が多くあると思います。

挨拶や名刺交換、ビジネスメール、ビジネス文書、酒席でのマナー、慶弔事など、ビジネスシーンでの共通ルールを知っておくことは、今後どこで何をするにも役に立つと思います。

行内文書や営業日報、稟議書作成など、ライティングスキルを身につけるチャンスもたくさんあります。(『「平仄(ひょうそく)」を合わせろ!』とか、『てにをはがおかしい!』とか、文章にはやたらとうるさいと思います笑 年配の人や、本部キャリアの長い人ほどすごく細かい事を気にするイメージです。)

めんどくさいと思う事もあると思いますし、過度に気にしすぎる必要もないと思いますが、知っておいて損はありませんし、チャンスだと思って習得してみて下さい。

仕事の進め方

銀行は「組織」で仕事を進めていく事を非常に重要視します。

一人で全て完結する仕事はほとんどないと言って良いと思います。

だからこそ、いわゆる「報・連・相」や、期限管理、責任の所在を明確にした業務オペレーション等について厳しく指導されると思います。

逆に言えば、個人の裁量がない、ガチガチの業務運営とも言えますが、そこから学ぶべき事もたくさんあると思います。

僕から見て「仕事ができる人」とは、一言で言うと「当たり前の事を当たり前にできる人」だと思っています。なぜならそれができる人は非常に少ないからです。

「報・連・相」をする、期限を守るなど、難しい知識や、特別な経験がなくても、誰でもできる事で評価が良くなるのであれば、実践しない選択肢はないと思っていますし、きちんと実践するだけで、自分自身も仕事がやりやすくなると思います。

また期限管理、タイムマネジメントは「どこで、何の仕事をするにも重要なスキル」です。厳しい環境の中でこそ身につくこともあると思いますので、是非前向きに捉えてみて下さい。

学習習慣

総務省統計局の「平成 28年社会生活基本調査」※よると、日本人の有業者が「学習・自己啓発・訓練」に充てる時間は1日当たり平均6分間で、世界中でもダントツに低いそうです。
※出典(「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局))

年収と学習時間の相関に関する調査等も多く発表されており、皆様も言われずとも感覚的に分かると思いますが、学習を続けている人のほうが仕事で良い成果を出したり、年収が高くなる可能性が高いのは当然だと思います。

社会人になって、仕事をしながら勉強を続けていくのはとても難しく、自己管理ができる人でないと継続できないと思います。

しかし、銀行はありがたいことに(?)会社が「勉強しろ」「資格を取れ」と言ってくれます。

これは考え方によってはありがたいことで、嫌でも働きながら勉強することになりますので、他の業種に比べて学習習慣を身につけやすい環境にあると思います。

資格の勉強以外にも、業務に必要な商品知識や周辺知識の勉強も必要ですので、「ずっと勉強している」感覚になると思います。

社内規程や商品・サービス、税法等、常に変化していく情報もアップデートしつづけなくてはなりません。

ただしこれは銀行に限った事ではなく、よくよく考えれば当たり前のことなんです。

それをするかしないかで仕事のクオリティや、今後の人生に差がついていくだけの話なんですよね。

「勉強イヤー!」という感覚から、「仕事や人生を豊かにするために勉強するんだ!」というマインドへ切り替えると良いと思います。

是非銀行の環境を味方にして学習習慣を身につけていきましょう。

必須科目や、最低限取得を求められている検定は早めに終わらせて、「銀行以外でも使える知識の勉強」をしていく事をお奨めします。(銀行業務検定をたくさん取ることも、人事評価を考える上でもちろん必要ですけどね)

法人オーナーとの関係構築

今回ご紹介するキャリアスキルの中で、僕が最も大切だと思っているのが、この「法人オーナーとの関係構築」です。

銀行で働いている方で、あまり意識していない人も多いと思いますが、銀行員は非常に恵まれています。

20代、30代の役職も何もない若手営業マンが、企業の経営者と経営の話ができる

こんな仕事、他にないと思います。

このチャンスを活かさない手は、本当にないと思っています。

実際に会社を立ち上げた人、経営をしている人の経験、考え方を、仕事をしながら学ぶ事ができる。

この経験は何事にも代えがたいですし、ご自身の財産になると思います。

また、今後転職や起業を考える際にも、大きな助けになるでしょう。

いやらしい言い方をすれば、「人脈作り」です。

ただしそれは、その経営者、オーナーに信頼されたり、感謝されたりした結果である事を忘れてはいけません。その会社の役に立つ仕事をする、そのための努力や勉強があってこそです。

ファイナンシャルプランナーや財務の知識に加え、業界のこと、その会社のことを、「役に立ちたい」という気持ちで勉強することが大切だと思っています。

マネーリテラシー

ファイナンシャルプランナーの資格取得にも共通するものがありますが、金融機関で働くメリットのひとつに「マネーリテラシーの向上」があります。

なぜなら金融機関の使命のひとつが、「国民のマネーリテラシーの向上」だからです。

お客様に資産運用や税金、社会保障や年金、退職金や相続の情報を提供し、適切なマネープランを提案する事を、プロとして、仕事として行う以上、必然的に自分自身が勉強せざるを得ない環境です。

業務のため、営業成績のため、と思いながら勉強するのは苦痛でしかないと思いますが、自分や家族のため、お金で損しないため、将来お金で困らないようにするため、と思えば、前向きに勉強できると思います。

と言うより、お金の勉強が楽しくなります。

そうなれば、自然とお客様にも喜ばれる情報提供ができたり、感謝されたり、仕事にも良い循環ができてくると思います。

もちろん転職や起業、ご自身のライフプランを考える時に、必ずプラスになりますので、是非意識して取り組んでいただくと良いと思います。

本部キャリア

多くの人ができることではないので、少し番外編になりますが、将来やりたい事が決まっている、あるいは興味のある分野がある場合には、本部キャリアを活用することもできます。

具体的には

  • 海外勤務
  • IT関連業務
  • M&A関連業務
  • 人事関連

などがあります。

希望通りの部署に行けるかどうかは分かりませんが、これまで書いてきたような基礎知識やスキルを習得し、仕事に前向きに取り組んでいる人の希望であれば、支店長や人事も「叶えてあげたい」と思うのが普通でしょう。

また、感覚的な話になりますが、最近の若い人の中にそういった積極的に発信する人が多くないと思いますので、良い意味で目立つと思いますし、従前と比べて比較的希望が通りやすいのではないかと思います。

私の周りや知り合いにも、希望通りの部署に異動した人はたくさんいます。

やりたい仕事のイメージがある、具体化している人には非常に効果的な方法だと思いますので、是非検討してみて下さい。

本日のまとめ

長々と読んでいただき、ありがとうございます。

就職・転職は人生の中で非常に大きな選択です。

銀行や信用金庫で働いている皆様や、これから就職をする皆様の、10年後、20年後、30年後を考えた時、今から取り組んでおいて損はない、役に立つと思う事について、僕なりにまとめさせていただきました。

まとまりのない文章ですが、少しでも皆様にとっての気づきになれば良いなと思います。

本日ご紹介した以外にも銀行で働く中で身につけることができる知識やスキルはありますので、少しづつ解説していこうと思います。

いずれも大切なのは、「その知識・スキルを意識して習得するか」だと思います。

日々忙しくて言われた事をこなすので精一杯、ノルマがきつくてそんな事を考える余裕がない。

そう感じている方がほとんどだと思います。

少しづつでも意識して前向きに取り組めるよう、僕が実践してきた仕事術などについても記事を書いていこうと思っています。

銀行で働いているけど将来が不安、銀行に就職しようと思っているけど迷っている、そんなすべての人の人生が、明るく豊かになりますように!!

翔

翔です。入行以来、営業表彰を多数受け、同期トップで出世してきた現役銀行員が、皆様の「転職」「副業」のお悩みに少しでも役に立つ情報を発信していきます。

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